しじみの代表的な料理と言えばお味噌汁などの汁物ですね。しじみのうま味が溶け出した汁はなんとも言えないコクがあり、なおかつ健康にも役立つ成分がたくさん含まれていますので、積極的にメニューに取り入れたいところです。ところで、殻長2cm程度のしじみの身は小さくて食べるのが面倒、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。汁だけでなくしじみの身を食べるメリットというのはあるのでしょうか。
汁にはうま味がたくさん溶け出している
しじみの汁のうま味は主にコハク酸という有機酸系のうま味成分です。有機酸には他に酢酸、乳酸、クエン酸などがありますが、コハク酸は貝類の特徴的なうま味成分とされ、シーフードに使用するコハク酸を主原料とした人工調味料も発売されています。また、コハク酸にはがん細胞の増殖を抑制する作用と血管新生を抑制する作用が確認されています。
しじみ汁にはオルニチン、タウリン、ビタミンB12も
しじみの汁に溶け出しているのはコハク酸だけではありません。代表的な成分としては、オルニチン、タウリン、ビタミンB12などが挙げられます。オルニチン、タウリンは肝機能のサポートに役立つことで知られています。ビタミンB12は赤血球の合成を助ける働きがあり、摂取することで貧血の予防につながります。しじみの汁は最後の一滴までおいしくいただくことで健康にも役立つと言えますね。
しじみの身にしか含まれない成分とは
それでは、汁を飲めばしじみに含まれている栄養はほとんど摂取できるのでしょうか。実は、汁にほとんど溶け出さない成分もあるのです。鉄分がその一例です。鉄分はそのほとんどが身に残り、汁にはほとんど溶け出さないのです。鉄分はヘモグロビンやミオグロビンの構成成分になり、貧血の予防になります。体質や体調により鉄分の摂取を控えたい場合を除き、しじみのお味噌汁などをいただくときには身も残さず食べることでしじみの恵みをより多く受け取ることができると言えるでしょう。
汁に溶け出す成分であっても、全て溶け出すわけではありませんので、身にはいろいろなしじみの栄養が残っています。多少面倒に感じても、しじみの身は食べるだけのメリットがあると言えるのではないでしょうか。