私たちが普段見かけるしじみは、成長して漁獲されたものです。アサリやハマグリなど他の二枚貝に比べて小さいので、まだ若い貝だと思われていることもありますが、殻長2cm程度であれば十分成熟したしじみと言えます。しじみの成長過程はどのようなものなのでしょうか。
ヤマトシジミの一生
日本で漁獲されるしじみのほとんどがヤマトシジミですので、ヤマトシジミを例にしじみの一生をみていきましょう。
誕生から幼生期
ヤマトシジミは雌雄異性体ですので、夏の産卵期になると雌は卵を、雄は精子を、それぞれの出水管から吹き出します。卵の大きさは0.1ミリ程度ととても小さく、雌は一回の産卵で数十万個の卵を産みます。産卵後、すぐに水中で雄の放出した精子と出会い受精します。受精した卵は水中を漂いながら分割をはじめ、幼生となります。幼生である一週間は水中を漂っているので、水の流れに乗って遠くまで運ばれていくこともあります。
幼生から稚貝へ
受精から一週間ほどすると、殻が出来て幼生から稚貝になります。殻ができると水底に沈み着底します。このころのしじみは砂粒ほどなので人目に付きませんが、プランクトンなどを食べ成貝と同様の生活を始めます。
稚貝から成貝へ
砂粒ほどの違いはゆっくり成長していきます。漁獲され店頭に並んでいる殻長2cm程度の大きさになるまで、最低でも2年はかかるとされています。漁獲されずそのまま成長した場合は殻長4cm~5cmほどまで成長し、寿命は10年程度と言われています。
ヤマトシジミの雄と雌
ヤマトシジミは殻長12cm程度で成熟し、精子や卵を持つようになります。雄と雌を見分けるには殻を開けて身の色を見る必要がありますが、夏の産卵期になると雄は身が白っぽく、雌は白っぽくなってきます。これは、雄は精巣が発達してくるため身が白く見え、雌は体の中に卵ができるため身が黒く見えるのです。
しじみの殻の線から年齢がわかる
しじみの年齢は殻から推定することができます。殻は身の成長に合わせて日々大きくなっていきますが、水温などの影響により成長の速度が変化します。低水温で成長が停滞した時に透明帯が作られますので、一年のうち冬季に透明帯が一本作られることになります。そのため、透明帯の数が年齢をあらわすことになるのです。
何気なく食卓に並んでいるしじみですが、意外に長い成長過程を経ていることがおわかりいただけたかと思います。ぜひ、無駄なく食べて健康に役立ててくださいね。