近年健康に役立つ成分のひとつとして話題のオルニチンですが、しじみに多く含まれているということでしじみをメニューに取り入れようとされている方も多いかと思います。そんなしじみのオルニチンが、冷凍するだけでその量が増量するとしたら、見逃せない情報ですよね。冷凍しじみでオルニチン増量とは本当なのでしょうか。
しじみに多く含まれているオルニチン
オルニチンとは非必須遊離アミノ酸の一種で、オルニチンサイクルという回路でアンモニアを分解するのに重要な役割を担っています。肝機能サポートの他、コラーゲンの合成を促したり成長ホルモンの分泌を促進するなど健康と美容に役立つ機能が見つかっており、まだ研究途上でもある成分です。オルニチンが多く含まれている食品は多くなく、しじみの他にはエノキダケ、キハダマグロ、チーズなどが知られています。
冷凍することでオルニチン量が8倍にも
地方独立行政法人青森県産業技術センターの研究で、しじみを冷凍すると、含有されているオルニチンの量が8倍に増加することが発表されています。これは、当初から冷凍によりオルニチン量が増えると想定して実験したわけでは無く、季節によるしじみ収穫量のばらつき、砂抜き前後や貯蔵方法による成分変化の観察過程で偶然発見されたとのことです。
冷凍温度はマイナス4度以下で
オルニチンが増加する仕組みはまだわかっていないようですが、どのような環境下で増加するかはわかっています。青森県産業技術センターの研究では、4℃~-10℃まで2℃間隔に設定した恒温機にしじみをそれぞれ20時間ずつ入れて取り出し、含まれている成分の変化を測定しました。その結果、4℃から-2℃までの間はオルニチンの含有量に変化はなく、-4℃で顕著に増加し、その量は冷凍前の状態のものと比べて実に8倍以上になったということです。-4℃であれば、家庭用の冷凍庫で十分冷やすことができますから、生鮮で買ってきたしじみも家庭で冷凍することでオルニチンを増加させることができると言えます。
その他アミノ酸も冷凍により増加
冷凍をすることで増加するのはオルニチンだけではないこともわかっています。しじみに含まれるアミノ酸の含有量は漁獲日の違いで異なりますが、いずれの場合も、冷凍したものの方が砂出し前・後のものに比べてアミノ酸含有量が増加していることが分析結果として出ています。
以上のように、しじみを冷凍することでオルニチンが増量するというのは各メディアにも紹介され広く知られてきているようです。また、冷凍することでオルニチンが増加するのは現在のところしじみだけに見られる現象とのことです。海鮮物は、生で新鮮が一番、とは、しじみ限ってはそうも言えないようですね。