しじみには多様な栄養素が含まれていますが、含有量が多い栄養素のひとつにビタミンB12があります。ビタミンB12と聞いても、実際にどのような働きをするかすぐ思いつく方はそう多くないのではないでしょうか。しじみに含まれるビタミンB12についてご紹介します。
ビタミンB12とは
ビタミンB12は水溶性ビタミンの一種で、悪性の貧血に効果のある成分として牛の肝臓から発見されました。微生物以外では合成されないため、植物性の食品にはほとんど含まれないとされています。
ビタミンB12の働き
ビタミンB12は、葉酸と協力することで赤血球中のヘモグロビン合成を助ける働きがあります。また、末梢神経や中枢神経の機能維持・改善の働きもあることが知られています。
ビタミンB12が不足すると
ビタミンB12の欠乏症として、悪性の貧血があります。これは、巨赤芽球性貧血と呼ばれ、赤血球が減ったり、異常に大きな赤血球が出来てしまったりする症状を呈するものです。また、四肢のしびれや歩行障害などの運動失調、興奮や軽い意識混濁などの精神障害があらわれることもあります。ビタミンB12は動物性食品から容易に摂取できるため、深刻な欠乏症には陥りにくいですが、体質としてビタミンB12を吸収しにくい人、病気で胃や腸など消化管を切除しビタミンB12の吸収力が落ちた人、完全菜食主義者などでは欠乏症が起こりやすいといえます。
ビタミンB12を過剰摂取すると
ビタミンB12は水溶性で体外に排出されやすい上、過剰に摂取しても吸収されない仕組みになっていますので、過剰摂取による健康被害の心配はありません。
しじみに含まれるビタミンB12
しじみの可食部100gにつき、ビタミンB12は62.4μg含まれています。ビタミンB12が多く含まれているとされる牛レバー52.8μg、鶏レバー44.4μgと比較しても、多く含まれているのです。
ビタミンB12の摂取目安量
厚生労働省が発表した日本人の食事摂取基準によりますと、ビタミンB12の一日あたり摂取目安量は、成人男性・成人女性ともに2.3~2.5μgとされています。しじみのお味噌汁一杯分で、一日分以上のビタミンB12が摂取できることになります。
ビタミンB12が多く含まれているしじみには、他にも鉄分と葉酸が含まれています。鉄分も葉酸も貧血改善に有効な成分です。鉄分、ビタミンB12、葉酸が一度に摂取できるしじみは、貧血予防の強い味方といえるでしょう。