鮮魚コーナーで簡単に手に入り、見慣れた存在のしじみですが、その貝殻についてよく見たことがある方は意外に少ないのではないでしょうか。身を食べるのに邪魔な存在の殻は、身を取り出したらすぐに捨てられてしまうことがほとんどでしょう。しじみの殻の色についてご紹介します。
種類によって違う殻の色
しじみの日本在来種にはヤマトシジミ、セタシジミ、マシジミの三種類があります。この3つは生息域が違い別の種類として扱われますが、殻の色もそれぞれ特徴があるようです。
ヤマトシジミの殻の色
ヤマトシジミは淡水と海水が混ざる汽水域に生息するしじみで、日本全国に分布しています。食用の国産しじみとして流通しているものの大半がこのヤマトシジミですので、多くの方がしじみと思って目にしているしじみといえます。ヤマトシジミの殻は茶褐色または黒褐色でつやがあり、成長するに従い成長脈がはっきり表れます。殻の色は生息地の地質によって変わり、泥地では黒色、砂地では茶~黄褐色となります。幼貝の頃は黄色い放射線の模様がありますが、成長に伴い消失します。
セタシジミの殻の色
セタシジミは琵琶湖とその周辺の河川に生息する淡水性のしじみで、その地域の固有種です。近年漁獲高が激減していますが、特産の味として根強い人気があります。セタシジミの殻は茶色や黄色、赤みがかったものなどヤマトシジミに比べて明るめの色が多いようです。砂地で獲れることが多いセタシジミは殻がべっ甲色で、「べっ甲シジミ」という俗称もあるということです。
マシジミの殻の色
マシジミは全国の淡水域に生息するしじみで、味が劣ることから食用としてはほとんど流通していません。マシジミの殻は黒紫〜暗褐色のものが多いようです。
外来種タイワンシジミ
日本の在来三種に加えて、日本の河川での発見報告が相次いでいるのが、外来種のタイワンシジミです。このしじみはもともと食用として輸入されたものが野生化したもので、マシジミと遺伝的に近く、交雑することでマシジミの激減に大きく影響を与えています。マシジミと外見での判断は難しいとされていますが、殻表面が鮮黄色から濁黄色・オリーブ色などの淡色系が多いことから、区別できる場合もあるということです。
しじみの殻の色についてご紹介しましたが、最近食べたしじみの殻の色を思い出せる方はそう多くはないのではないでしょうか。今度しじみを食べるときは、殻を捨てる前に一度じっくり見てみるとおもしろい発見があるかもしれません。