しじみのフリーズドライって?

ひと昔前は手軽であるけれども味がいまひとつであったインスタント食品ですが、加工技術の飛躍的な進歩によって手軽でありながらおいしいという商品が続々と世に出ています。手軽でおいしいインスタント食品の広告に「フリーズドライ」という文言を見たことがあるかたも多くいらっしゃるのではないでしょうか。しじみのインスタント食品にもフリーズドライのものが多く出ているようです。しじみのフリーズドライについてご紹介します。

フリーズドライとは

食品加工の製法のひとつであるフリーズドライ。Freeze (凍結)とDry(乾燥)を組み合わせた造語ですが、その名の通り食品を凍結状態から乾燥させる技術のことです。

救急医療の分野で開発された技術

実は、フリーズドライというのはもともと食品加工の技術として開発されたわけではなく、救急医療の分野で誕生した技術なのです。輸血用の血液を遠隔地の病院に運搬するために開発され、医薬品類を中心に発達していきました。

なぜ凍結状態から乾燥させられるのか

凍結状態の食品を乾燥させる、と聞いてもピンとこない方が多いのではないでしょうか。自然状態では不可能なこの加工方法は、真空状態と気圧の操作によってはじめて可能になるのです。凍結させた食品を真空状態に置くと、含まれている水分は昇華現象により、氷(個体)から水蒸気(気体)へと変化します。乾燥させるために熱を加える必要がないので、色の変化、風味の変化、栄養価の損失が起きにくいのです。

フリーズドライで実現可能になった保存性と復元性

フリーズドライで乾燥状態になった食品には、水分がほとんど含まれていません。酵素や微生物は水分がないと作用できませんので、保存料の使用をせずに長期保存ができるようになります。また、凍結状態から昇華現象で乾燥させていますので、フリーズドライ製法で乾燥させた食品には水分が入っていた微小な穴がそのまま残っています。お湯を注ぐことでこの空間に水分が急激に吸収され、瞬間的に水分を含んでいた時の状態に戻ることができるのです。

しじみのフリーズドライ

しじみをフリーズドライ製法で加工したインスタント食品も多く発売されています。身の部分のみをフリーズドライにしたものは、お味噌汁の具として使うのはもちろん、ご飯の上にかけてふりかけとしても人気があるようです。お味噌汁では、殻がついた状態でフリーズドライになっているものも多く発売されています。殻がついていることで、よりしじみ汁の雰囲気が味わえますね。

栄養がたくさん含まれていて積極的に摂取したいしじみですが、保存性の点で手を出しにくかった方もいらっしゃるかもしれません。フリーズドライなら長期保存ができ、冷凍品のように解凍する時間も不要です。ぜひ上手に使ってみてください。