健康に役立つ成分がたくさん含まれたしじみですが、何を食べて育っているかご存知ですか?しじみをはじめとする二枚貝は主に植物プランクトンを餌としています。しじみとプランクトンの関係についてご紹介します。
植物プランクトンとは
プランクトンという言葉は理科の教科書に出てくるため多くの方がご存知だと思います。プランクトンには植物性と動物性がありますが、植物プランクトンは太陽光と水中の栄養分を用いて光合成を行い、有機物を生成して成長、増殖します。植物プランクトンは動物プランクトンの餌になり、動物プランクトンは魚の餌になります。魚は人間や、他の動物に食べられることで食物連鎖が成り立っていますので、植物プランクトンの食物連鎖における役割は非常に大きいことがお分かりいただけると思います。
しじみと植物プランクトン
貝であるしじみですが、動物プランクトンではなく植物プランクトンを直接餌としています。しじみは水を吸い込み、その中に含まれる植物プランクトンや有機物のかけらを濾し集めます。その中で食べられないものは粘液で固めて体外に排出し、出水管からはきれいになった水を吐き出すので、天然の濾過フィルターの役割を果たしていると言えます。
環境改善にも役立つしじみ
日本で獲れるしじみのほとんどを占めるヤマトシジミは、淡水と海水が混在する汽水域に生息しています。汽水域は基本的に窒素やリン酸などで富栄養となりやすいため、植物プランクトンが大量発生しがちです。動物プランクトンに食べられなかった植物プランクトンはそのまま湖底に沈み堆積しますが、これが長く続くとヘドロ状態になってしまうのです。このヘドロはバクテリアなどによって徐々に分解されますが、しじみは植物プランクトンを直接餌とするため、より効果的にヘドロを回収、つまり環境改善に役立っていると言えるのです。
一粒一粒は小さなしじみですが、その全体の量が濾しとる水の量は何千トンにもなります。適切な量のしじみ漁をすることで、湖や河川の汚れを取り去ることができるとも考えられます。しじみの料理をいただくとき、健康に役立つだけてなく環境改善にも一役買っていると思うとおいしさも倍増するのではないでしょうか。